チャイコフスキー・コンクール1994


 これはすごい・・・。(例によって*1、音量は大きめにして聴いてね)

 この年のバイオリン部門は、チェボタリョーワ*2とジェニファー・コーが2位を分け合った(1位はなし)のだが、録画を今回初めて見て驚いた。ジェニファー・コーの演奏が凄い。こんなチャイコフスキーのバイオリンコンチェルトは聴いたことがない。とにかく荒い。こういう荒いプレーヤーはオケでは白眼視されることが多いけども(当たり前か・・・)、ここまで来るともう別の世界なのか。とにかく前に前につんのめっていく感じがたまらない。鬼気迫る表情も音楽と相まって強烈な印象を残す。昨日と今日で30回は聴いた。

 クラシックはいろいろな要素を含んでいて、例えば安定感であったり(ベートーヴェンとか)、美の極地であったり(マーラー5番の4楽章とか)、途方もない熱さであったり(レスピーギ「ローマの松」とか)するが、ここでは3つ目の要素を思う存分感じることができるだろう。そしてそれは、ぼくが一番クラシックに求める要素でもあるのだ。クラシックは上品な(だけの)ものではない、とぼくが常日頃から主張する理由はそこにある。

 追伸>
 参考までに、1990年の同コンクール(の受賞記念演奏会)も凄い。我らが諏訪内晶子が1位を取った年ですね。総合力で上記2者を圧倒。


*1:クラシックを小音量で聴くと音のニュアンスが死ぬというのが持論です。

*2:現在「アナスタシア」というヴィジュアル系バイオリニストとして日本で活躍中