刑法62条1項と私


 先日の日記は、初めて動画リンクを張ってみたのだが、実は、リンクしようかどうしようか迷っていた。それは、リンクを貼る行為が合法か?ということについて。

 問題は、自動公衆送信(@著作権法)を「容易にした」といえるかどうか(いわゆる物理的因果性があるか?)という点にある。

 先例をみると、猥褻画像についてリンクを貼る行為が175条(猥褻物陳列)の幇助犯にあたる、という判例(大阪地裁平成12年3月30日)があることはあるのだが、この事案は、問題となった可逆マスク処理の開発者に関するものだ。動画にリンクを貼る行為は、この先例から程遠いともいえそうだ。

 しかしよくよく考えてみると、公衆送信は常時行われているから、その公衆送信にリンクを貼るとアクセスを増やしてしまうことになる。これは「容易にした」と言われても仕方がないところだろう。

 ということで、先日のリンクは切りますね。ちなみに、我が国では、ダウンロードする行為自体は罰されていません。


 追伸>
 それにしても、なんとも窮屈な感じがする結論だ。ちょっとした紹介くらい許されてもいいと思うのだけど・・・。手法はいくつか考えられそうだが、①もはや動画は技術的な複製可能性において文書と同じだと解し、文書と同じく一部引用を許すとか、②ハイライトは宣伝と割り切って無料公開するビジネスモデルを作ってしまうとか。適正な落としどころはどこだろうか・・・。