705NKはツァイス銘を冠するに足りるか
705NK(N73)はカール・ツァイスのレンズ(Tessar/F2.8)を搭載していることが売りになっている。実際カメラ機能を使ってみた感想としては・・・
●わるいところ
・シャープ携帯のレンズと比べて特段良いとは思えない。特に、逆光に弱いのがきつい。
・解像感は全然ない。CCDの素性が良くないせいか画像処理でごまかしており、L版のプリントを最優先にした油絵っぽい画になっている(当然ディスプレイ等倍では見るに耐えない)。頑張って2Lまでかな。
・AFとシャッタータイムラグは結構ひどい。(シャッターラグだけで0.5秒くらい?)
・暗所性能は極めて悪い。しかし明るめの蛍光灯下くらいまでなら結構綺麗に写る。電球はアウト。
●よいところ
・CCDの色は割と面白い(写真参照)。
・したがって、露出・ホワイトバランスがハマれば、L版、2L版なら結構見れる画質になる。
●対策
ということで、設定をある程度追い込む必要がありそう。つまり、「ユーザー定義モード」が鍵になる。欠点として挙げた要素を少しでも減らすために、以下のように設定してみた。
①「基本となるシーンモード」を「風景モード」に選択。これでフォーカスが無限遠固定となり、AFをスキップできる。極少CCDなのでピントの合う範囲は広く、
②フラッシュは当然オフ。(使うと色味も光線具合も凄いことになる)
③ホワイトバランスは晴天。(夕方は赤くなるし、日陰では青くなるのが自然の摂理。場合によっては変更。)
④露出補正は画面によって使い分ける。(明るい被写体ならプラスに、暗い被写体ならマイナスに補正。ラチチュードが極めて狭いので、ドンピシャの露出を常に狙う)
⑤色合いは「標準」(フラッシュをオンにせざるを得ないときは、モノクロやセピアに逃げるのもいいと思う。少なくとも色味の心配はなくなるから・・・)
⑥感度は「低」(暗いところではその都度上げる)
●ツァイスの証言
ちょうどアサヒカメラの2月号*1120ページにツァイスのカメラ・レンズ部門のマーケティングマネージャー氏のインタビューが載っているので、引用したい。
映画制作者はレンズに究極の性能を求めます。同時に1本のシネレンズが自動車1台と同じくらいの値段でも購入します。しかしたとえばソニーのデジタルコンパクト機でスナップを撮る人に対して、ツァイスレンズがついているからといってとても高い価格をつけることはできません。サイバーショットのツァイスレンズは、その分野では最高の品質ですが、もちろんツァイスのシネレンズと比較できる基準ではありません。このことからすると、705NKのレンズはツァイス的にはOKということだろう。しかしぼくとしては、この逆光の弱さが許容できない*2。CCDの色は結構面白いだけに残念だ。
●結論
ツァイスの名を冠するには耐逆光性能が足りない。とはいえ、フルオートで撮るのではなく、弱点を把握してうまく使えば、最低限の性能はあると思う(これまでは最低限の性能すらなかった)。ようやく携帯カメラが日々のメモとして使えるようになった。
●おまけ
シャッター音は4種類あるけども、4番目の音が凄い。これは・・・バルナックライカでは??少なくとも、横走りフォーカルプレーンシャッターの音だと思う。そのこだわり、嫌いじゃないぜ(笑)。ただ、実際シャッターが切れるタイミングから大幅に遅れて音が鳴るのは改善して欲しいなぁ。