写美


 ありがたいことに招待券を頂いたので、写美(東京都写真美術館)に行ってきました。ブラッサイ(ポンピドゥーセンター・コレクション)の展示です(9月25日まで)。→詳細

 土曜日ということもあって、なかなかの人の入りでした。内容としては、ブラッサイを手堅く押さえておけるいい展示だったと思います。代表的な「夜のパリ」を初めとして、落書きシリーズや昼のパリなどその他の写真群も展示、しかも素描や彫塑も置いてあるということで、ブラッサイの作品背景などを考えるきっかけになるでしょう。

 唯一の難としては、全体的にプリントが小さく、一部写真などは八つ切り程度のものもあるというような状態だったことでしょうか。プリントサイズの大切さを学ばせていただきました。

 おまけとしては、手持ちの写真集と構図が左右反転しているものがあった(笑)ということでしょうか・・・。ネガを裏表逆にして焼いたんですね。なかなかの珍事だと思います。(因みに、窓から顔を出している老女と猫が画面外の何かを同時に見つめている写真です) 入場料は1000円です。

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 ついでに行ってきたのが、「写真はものの見方をどのように変えてきたか」(東京都写真美術館10周年特別企画)です。全4回に期間を分けた展示で、今回は最後の「混沌」という回になります(11月6日まで)。→詳細

 「混沌」と名づけられたのは、70年代以降の写真における「多様性」について考えていく趣旨だったのですが、この展示は見事にその目的を果たしているのではないかと思います。少なくとも私は、自分の好みに合った写真家を何人も発見することができました。例えば、ジャンルー・シーフ、ティエリー・ウルバン、李家昇、ジョセフ・クーデルカ(リンクでは写真見れます)などです。

 展示方法としては、ダイアン・アーバス以後という形で、アーバスを皮切りに展示していく方法だったのですが、これは分かりやすくて良かったです。全体の展示点数は若干少ないかなとも思いましたが、鳥瞰的展示であることを考えると、過不足ないでしょう。入場料は500円という破格の値段なので、古典写真を一通り見た方になら、超強力にお勧めします。正直言って、主目的のはずだったブラッサイよりも充実した展示です。しかしブラッサイの半分も人は入ってませんでした。残念。

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 閑話休題。恵比寿の三越をうろうろしているとき、店員さんと写美の話になりました。しかしその店員さんは今展示してるのが何か、とかまでは全然把握していませんでした。写美はまだまだ地域に根付いていないようです。思うに、恵比寿での宣伝が足りなすぎですね。恵比寿近辺はもちろん、ガーデンプレイスに至っても全く広告がありませんでした。あの動く歩道やら三越やらに少しくらいなら広告を出せそうなものですが・・・。せっかく世界有数の写真美術館なのですから、恵比寿に住む人・遊びに来た人をふらっと立ち寄らせるような美術館になって欲しいと思います(その意味で、入場料が安いのはとても評価できることです)。

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 最後におまけとして・・・古典写真を一通り概観するならこれ、という3冊を挙げておきます。大抵の大規模書店・図書館にあるはず。


人間家族: The Family of Man

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日本の写真家〈16〉土門拳

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日本の写真家〈8〉木村伊兵衛

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