「APS写ルンです」不買のススメ


 先日、例によって写真屋でバイトしている最中に、APSフィルムの焼き増しのオーダーが大量に入りました(APS:カートリッジタイプのフィルムのこと)。その大量のAPSフィルム、何と全てカールがきつくそのままではプリンターに読みこめない。結局、カートリッジから取り出してロールの状態でプリントするということになってしまい、一体何のためのカートリッジか・・・と改めてAPSというシステムに失望しました。
 APSというのはそもそも、94年に富士写真フィルム、キヤノンニコンミノルタの5社が合意して作ったシステムで、以下のような長所があります(、とアナウンスされました)。

  • 1.カートリッジをカメラに入れるだけなのでフィルム装填が楽。また、カメラが薄くなる。
  • 2.インデックスがつく
  • 3.カートリッジなので、傷・埃がつきにくい。整理も楽。
  • 4.磁気記録層によって撮影時の状況を記録、プリント時に活かす
  • 5.C/P/Hという3種のプリントサイズが選択できる

 しかし。
 結局、全ては意味の無いものになってしまった。

  • 1.35mmフィルムでもそのまま装填できる簡単なものができた(何とフジ自ら開発)
  • 2.35mmフィルムもインデックスはつくのが当たり前になった
  • 3.先述のように、カールしてるい場合がある。巻いた状態で保管しているのだから、余計カールしやすい。カートリッジは保管時邪魔。
  • 4.磁気記録の失われているフィルムが少なからずある。
  • 5.H(16:9のハイビジョンサイズ)なんて使う人はほとんどいない。人にも配りにくい。P(パノラマ)は35mmフィルムにもある。

 また、フィルムサイズが小さくなったので画質への影響(=最大の短所)が取り沙汰されましたが、これに関して「普通の人はL判しか使わない」という設計思想に基づいた割り切りだったようです。そしてそれはあながち間違いではなかったと考えます(大伸ばしはできないとアナウンスすべきだったとは思いますが)。しかしその後、フィルムは高感度化が進み、今は感度1000のレンズ付きフィルムが普通にAPSで売られています。感度が上がると暗いところでに強くなりますが、粒子が荒れ画質が低下します。私は、APSの高感度フィルムはL判ですら問題のある画質だと考えています。

 さて、長々と批判してきました。いよいよ本題。最も問題なのは、「写ルンです」ですdeath。APSはその設計に欠陥があったにも関わらず、未だに「写ルンです」においてはAPS版と35mm版が並売されているのです。しかも、一番の売りであったフィルム装填の容易さも、写ルンですでは全く関係がありません。何故売るのか・・・本体の小型化(特に薄さ)にメリットを求めているのでしょう。しかし、リコーのR1のように、35mmでも薄く設計することは十分可能です。「画質」という最も捨ててはならないところを捨て、欠陥規格を延命させる立場には到底与し得ません。たしかに、「写ルンです」には元々画質を期待してはいけないという向きもあろうかとは思います。しかし、最近の35mm版の「写ルンです」は少なくとも2m前後のピントは素晴らしいものがあります。

 デジタル全盛の現在でも、「写ルンです」を使うことは多々あるでしょうが、その際には是非、APSを避けることをお勧めしたい。パッケージの見分けがつきにくいですが、よく見れば書いてありますので・・・。

 私populaireは、APSレンズ付きフィルムに見切りをつけるという潔さを持つコニカミノルタを応援しています。*1

*1:特に、超広角レンズ搭載のレンズ付きフィルム「WaiWaiワイド」は一度は使ってみたい面白さです。ネーミングはアレですが・・・。また、コダックのレンズ付きは安いですが、全体的に作りが悪いのでお勧めできません。