新戦力ライツミノルタCL




 ミノルタMF機で写真の道に入ること4年、遂にライツミノルタCLがやってきました。ライツミノルタCL、妙な名前ですが、これは、ライカを作っているライツ社が設計し、ミノルタが製造したという技術提携の結果です。そしてこのCLは、ミノルタ社史を紐解く上で外すことのできない傑作機と言われています。なぜなら、かつて(1950年代)ライカの後塵を拝した日本のカメラメーカーが、その製造力をライカに認められるに至った記念のカメラだからです。(西ドイツの人件費高騰によりライツがじり貧だったというのもありますが・・・)

 本機は友人から売却を持ちかけられました。不測の買い物はあまりしないタチなのですが(←とことん調べてから買う人)、私のようなミノルタファンの手元にミノルタの名機が来ようという折角の機会なので、それに乗っておくのもいいかないうことで購入しました。私はいま20代半ばですが、これまで「確率的にはあり得ない」出来事というのに結構遭遇していまして、「機会」「縁」といったものはできるだけ楽しむことにしています。なもので、こういった機会はとりあえず乗ってみようという運びになりました。

 実際使ってみると、その高級感に驚かされます。ローライ35のような精密さが満ちており、ピントリングを回してシャッターを切るだけで幸せだというライカ病の方々の気持ちがちょっと分かったりします。しかし、写真を撮る際に「光を見、距離を見てフィルムに像を結ばせる」という「原始的な手順」を撮り手に感じさせてくれることがマニュアルカメラの利点ですから、カメラ自体の精密感はそれ自体が喜びなのではなく、「原始的な手順」のひとつひとつが精密であればあるほど、それがデバイスと使い手との一体感・信頼感につながり、喜びに至るのではないでしょうか。

 また、「小ささ」がCLの大きな性能のひとつと言えます。伊達にCompact Leicaを名乗っていません。レンズ交換式レンジファインダー機としては、現在においてもなお最小クラスです。持ちにくいのは構え方と慣れでカバーできましょう。また、小さいということでライカM型のような重厚さはありませんが、私としてはそこが寧ろ気に入っています。各部仕上げは上質なものであり極めて精密、特にトップカバーが艶消しブラックになっているところが上品で気に入っています。

 フィルム装填もしやすい。あらゆるマニュアル機と比べても、何故だかやりやすい方だと思います。やはりライカの設計が優秀だからでしょうか。裏蓋開閉はローライ35と同じ、裏蓋と本体が完全に分離する方式です。(盗作?)

 ファインダーは非常に見やすいです。ゾルキーやらキヤノンPやらしか使ったことのない私にとって、このファインダーは快感です。ピント合わせもエッジが立っているので非常にやりやすい。若干色がついてるかなという感じもしますが、経年もあり、やむを得ないでしょう。また、40mmフレームが最初見にくいように感じられましたが(50mmも同時に出るのでごちゃごちゃする)、これは簡単に慣れることができます。因みに、二重像調整はホットシュー近くの隠しネジです。カバーを外すときに傷をつけないよう御注意を。

 シャッター音も十分静かで、このカメラは本当にスナップに使いやすいです。が、スナップの代表格である35ミリレンズは若干使いにくいかもしれません(ファインダー全体で35ミリの範囲ですが、一度に四隅まで見られない)。私は幸いなことに40ミリ派なので(ミノルタのMDロッコール45ミリに始まり、オリンパスXA2の35ミリレンズを経て、ローライ35の40ミリがツボでした)、Mロッコール40ミリ(ノクトン40ミリも捨て難いですが・・・)を組み合わせて、一躍メイン機材の仲間入りです。*上の写真でのレンズは、ジュピター8(50mm/F2)です

 ともあれ、そんなこんなでミノルタがまたメイン機材として帰ってくるというのは、やっぱり何かの縁なんじゃないかなぁなどと思いつつ、写真を撮っている最近の私です。