写真展「森山・新宿・荒木展」


 行ってきました、「森山・新宿・荒木展」

 一応簡単に説明しておくと、荒木経惟は例のアラーキーです。自称天才。一方、森山大道は1960年代後半、写真界に計り知れない衝撃を与えました。公式サイトに写真がたくさんあります。<一度は行ってみて欲しい。そして現在もその勢いは全く衰えていません。この二人が新宿を撮る、という写真展です。

 新宿というワールドクラスの妖しい街が国内にありながらも、我々はそれを実際どこまで知っているでしょうか。テレビなどから得られた、断片的な「知識」しかせいぜい持ち合わせていないのではないでしょうか。改めてそんな事実に気付かされ、同時に、厳然と記録された「リアル」に打ちのめされます。

 そして、やはりというか何というか、森山氏によるモノクロ写真に特に圧倒されました。最新写真集「新宿」によって改めて示した、新宿をコピーする第一人者としての貫禄を見せ付けられました。そして同時に、氏の言葉を強烈に思い出します。曰く、「これからの写真は?とかゴマメの歯ぎしりをしているから、写真か遠くなってしまうし、写真がダメになっていく。大体写真に、創作とか、想像とか、そんなものはないのだよ。だから、カメラマンには世間を複写する職人としてしか、生きてく道はないわけだ」、と。 この言葉、氏の写真を見る際のひとつの視座になるでしょう。

 一方の荒木氏はカラーの展示が中心。森山氏の何倍もの展示があり(2004年撮影のものだけでも400点近い)、すごいボリュームです。そして、この写真で「いい」と思えるものは人によって違うでしょう。これは完璧を嫌う氏の手法であり、どう取るかは受け手に放り投げ、任せているのだと思います。

 後半は、旧作を中心にした展示。数はあまりないですが、一応森山大道の伝説を簡単に追体験できるようになっています。

 階をひとつ上がると、ドキュメンタリー映画「≒森山大道(2001年)」、「アラキネマ(2004年)」の上映。時間が合わなくて見られませんでした。残念・・・。それぞれ1時間超です。

 また、今回は、両氏の撮影の様子を映像で撮るという試みが行われていたのですが、その上映もありました。両氏とも撮るのが死ぬほど早い!この方に薫陶を受けた私としては(笑)2秒以内で撮影することを心がけてはいましたが、森山・荒木氏は1秒かかっていません。新たな目標ができました。あと蛇足ですが、マニア視点としては、荒木氏のカメラはプラウベルマキナ67、森山氏はおなじみリコーGR21と、何とミノルタ8700i(+何らかのズームレンズ)でした。ミノルタとは驚いた。ちょっとうれしい。

 ともあれ、すごいボリュームで大満足。これで1000円しない(大人900円)というのは破格と言ってもいいでししょう。写真展に行ったことがなくても必ずや満足できると思います。(ただし土日は混雑でまともに見られないと思います。土日早朝か平日がおすすめ。夜は20時までです。)東京オペラシティにて。3月21日(祝)まで。