母校の演奏会


 に行ってきました。演奏会自体はなかなか成功だったのですが、ある団員の蒙った、すごくショックな事情を聞きました。この身に降りかかったらそれこそ数ヶ月は立ち直れないほどの出来事です。自分としてもかつて似たような経験をしているのでその気持ちは本当によく分かり、演奏を聞くどころではありませんでした。この出来事に限らず、オーケストラというのは、裏で本当に多くの涙が流れているものなんです。演奏終了後には、とても陰鬱な気分でした。

 でもねぇ。それでも彼らが音楽をやめることはないのです。私も、音楽に関してきっつい出来事はそれなりに体験しているつもりですが、音楽をやめるつもりには全くなりません。むしろそれは新たな力にもなりうることを体験として知っているからです。そんなことを思うに至り、最近気力不足の私にも少し気力が出てきました。この意味では、今日、演奏会に行ってよかったのかもしれません。

 最後に、心の支えである土門拳の言葉を。(なんか最近名言集みたいになってますが--;)

 「何よりも苦しいことは、いい写真が撮れないことだ。そのくせ写真なんかやめてしまえとは、みじんも考えられないのだ。腐れ縁の古女房同様に、何の新鮮な魅力も感激も持てなくても、カメラを捨ててしまおうとは思えないのだ。いや、むしろ、いい写真を撮りたいという気持は、昔とはもっと違った意味で一そう激しく燃えているとも言えるのだ。その意欲と野心は、昔ほど単純素朴な熱情とはちがった意味で頭と胸にとぐろを巻いているのだ。それは陰性な執着そのものと似ていると言うほかはない。」

 私がこの文章を初めて読んだのは数年前、学校の図書館でだったと思いますが、文章から感じられる感情の迸りにあてられて泣きそうになったのを覚えています。いまでも、心の支えです。