オーケストラのたのしみ


 3年ぶりのオーケストラ合奏に行ってきました。大学を出てからほとんど楽器も触っていなかったところを、ここ数週間でコンディションを急造して臨みました--;

 練習会場に着くまでの時間は結構緊張していたのですが、その緊張はバイトのときなどに感じる嫌な緊張感ではなく、永らく忘れていた感覚のような気がします。自分でも微笑ましく思いながらいざ会場入り。合奏前は談笑する余裕もなく、ひたすら勘を取り戻す作業をします。

 個人の出来としては納得できるものではありませんでしたが、局所的にはいいところもあったのでまあよし。技術的にはまだまだこれからといったところです。しかしそんなことよりも、頭の中の音楽を外に出すという行為が楽しくてしょうがなかった。しかもその気持ちは、あれだけ入れ込んでいた大学オケの頃より強く、そしてより心の底からの衝動となっているのです。疲れ果てて帰る途中、ぼーっととしつつ芥川也寸志の言葉を思い出しました。

 「私たちの内部にある音楽とは、いわばネガティヴの音楽世界であり、作曲する、演奏するという行為は、それをポジティヴな世界におきかえる作業にほかならない。(中略)積極的に聞くという行為、そして聞かないという行為は、つねに想像の世界へつながっている。この創造的な営みこそ、あらゆる意味で音楽の基礎である。」(岩波新書「音楽の基礎」より)

 この言葉の意味するところは、今日私が感じたたのしみのことではなかったか。ホルン人生十余年にして、私はようやく「基礎」にたどりついたようです。