野に還る


 野湯というものを御存知でしょうか。
 ぼくは知りませんでした。一言で言えば、自然の中に湧いている温泉です。詳しく知りたい人はwikipedia「野湯」あたりを参照して下さい。

 5月末に初めて野湯に行ってきました。場所は、栃木県奥鬼怒の湯沢噴泉塔です。
 場所はこちら。

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 お持ちの方はgoogle earthで見てみると面白いかもしれません。あまりに何もないところなので・・・。

 では、写真とともに振り返ってみましょう。


 東京から目いっぱい急いで、4時間近くかかります。朝4時に出ました。


 沢屋(沢登りの玄人のこと。対義語は「山屋」。)のコスプレをしたぼくです。一応歩道が整備されているところもありますが、途中橋が落ちているところが何箇所かあるので、渡渉(橋のない川を渡ること)は必要です。前日が雨だったこともあり、片道10回近く必要でした。もちろん初めてだったので、最初は冗談抜きで死ぬんじゃないかと思いましたが(笑)、慣れてくれば、そして十分注意すれば、何とか渡れます。とにかく激流に足を持っていかれるのが怖い!今回誘ってくれたのは山岳部出身の友人だったため、いろいろ助けてもらいました。


 橋といえば橋ですが、どう見ても丸太です。下は激流。ここもものすごいビビりながら渡りました。


 渡渉の図。このルートは、基本的には沢を遡行していく感じになります(写真は復路)。


 景色は素晴らしいの一言。途中、工事の人を除けば誰一人として人間に遭いませんでした。


 終点の噴泉塔で。人間が小さいのがお分かりでしょうか(写真の下まで滝は伸びており、この写真は全体の半分くらいしか捉えられていません・・・広角レンズを持っていくべきだった)。雨上がりということもあり、かなりの迫力です。


 前の写真の中心部まで行ってみました。熱い湯が流れ落ちています。増水のせいで、ここの野湯には入れませんでした(川の水が増えすぎて、湯船を作るスペースがなかった)。


 もうひとつの野湯ポイント。河原を30分ほどシャベルで掘って、湯船を作ります。温度調整は川の水を入れる量を調整して行います。誰もいないので、全裸で入ります。太陽と風が気持ちよく、1時間ほども入っていました。

 所要時間は、野湯に入るのと昼食(滝を見ながら、カップ麺とその場で作る温泉卵)も含め、往復で9時間くらいでした。
 よく、「野趣溢れる」などという形容がありますが、あんなものはあくまで趣にすぎない形容であるということがよく分かりました。人間、たまにはこうして野生に還るのもいいものだと思います。いい旅でした。