プリンスホテルは違法と言えないのかも


 前回プリンスホテル法治主義に反すると言いましたが、どうもそこまでは言い切れないのかもしれないと思うようになりました。

 というのも、今回の仮処分は間接強制という手段で実現されるものなのですが、間接強制というのはいわば「処分に従わないとお金を払う義務が課せられますよ」という強制手段*1なわけです。その義務の不履行については、後々の正式な裁判で直接強制されるということです。

 そうすると、今回における法の出番としては、まさに金銭支払義務を課すところまでということになりそうです。つまり、そこから先は法の出番ではないということです(そのあと正式な裁判で負ければ金銭を強制的に取り立てられることになりますが、やはり会場の使用強制は無理です。なお、金を払えば何をやってもいいというのではなく、極端な利益侵害行為(傷害や殺人など)は刑事法の規律に服することになります。)。

 最終的にホテル側は法の外側で利益を衡量することになります。宿泊客の平穏を考えたことももちろんでしょうが、自らの決断が世論の反対をそこまで受けないという予想も判断の材料には入っているものと思われます。

 見解を訂正します。プリンスホテルはおそらく違法といえません*2から、使ってはいけないということもありません。

*1:強制手段として他には直接強制(例:差し押さえ)などがあります。

*2:妥当かどうか(←適法かどうか、という問題とは異なる)の判断は相対的なものなので、それは法とは関係ない、ということになりましょうか。