BCNランキングの大いなる問題点


 BCNという会社の書いた記事をたまたま目にする機会があったのだが、あまりにひどい点が数点あるので指摘しておきたい。記事のタイトルはそれぞれ「デジタル一眼どれ選ぶ?売れ行きからみたこの冬の人気モデルトップ10」及び「目的に合わせて最適なプリンタを選ぼう」。普段よく使うものに関してこういった問題のある記事を読むと、どうにも我慢できないので・・・。

 まず、デジタル一眼レフのランキングから(→原文)。
 曰く、「1位はキヤノンの『EOS KissデジタルX』。発売以来1位を独走しており、今、日本で最も売れているデジタル一眼レフカメラといっていい」とあるが、シェアとしては26.2%。ライバルのエントリークラス一眼レフ、ニコンD40D40Xを合わせるとニコンは27.7%。これらニコンの2機種は画素数が違うだけで、エントリーユーザー向けであるという点では全く共通した機種である。この一見無駄に見えるラインナップは寧ろユーザーに合わせたラインナップであり、ニコンの良心が現れたものだとすら言える。然るにBCNランキングはこれらを全く別の機種として扱っており、あまつさえkissデジタルXが「独走しており」などと書くのは正確ではないと思う。ちなみに、D40D40Xに悩む人から相談を受けたときにぼくが勧めているのは、600万画素のD40である。そのくらい画素数はもう十分な域に達しているのだ。

 次に、「目的に合わせて最適なプリンタを選ぼう」という記事(→原文)。
 まず、「顔料インクが染料インクと比べて割高」という全く耳にしたことのない事実をいうところは戯言*1として流すとしても、次の点は妥当性を欠くのではないか。すなわち、上位機のキヤノンMP970及びエプソンPMA960においてそれぞれインクの色数を「7色(カラーでは実質6色*2)」「6色」と明記しておきながら、最も売れ筋の中位機であるキヤノンMP610及びエプソンPMA840においてはインクの色数を明記していないのだ。ちなみに色数はそれぞれ「5色(実質4色)」「6色」である。2色増えるだけで写真の出来は明らかに違う。差が出ないサンプルでは差が出ないけれども、グラデーションやドット感で差は確実にある。そうでなければキヤノンも上位機で4色を採用するでしょうし。

 というわけで、結論としては、提灯記事であるというふうにも見えかねないところだけれども、ネットの記事なんてそんなもんなんですかね(本になってても駄目なものは駄目ですが・・・)。いずれにしても、正確な情報を掴むようにしたいものです。年の瀬に不景気な話題ですみません。

 なお、ついでに言っておけば、キヤノンのカタログデータについて疑問がある。それは写真の耐年性及びコストについての記述である。耐年性*3において「プロフェッショナルフォトペーパー」というかなり割高な用紙で計算(それでも10年)しているのに対して、印刷コストにおいては「写真用紙ゴールド」という安い用紙で計算している。これは書き方として妥当なのかどうなのか。写真用紙ゴールドでの耐年性も明記して欲しいものです。
 ちなみにエプソンでは、通常の写真用紙でも25年の対ガス性を持っている(=耐年性が用紙に依存しない)。この点は強調されてよいところではないかと思う。

*1:染料インクと顔料インクのコストについて日経パソコンの記事より以下抜粋。「気になる印刷コストですが、インクの種類で大きく変わるわけではありません」

*2:この機種の1色は文書にしか使われないブラックなので、これを注記無く色数に含めるのは問題があると思う。

*3:特に耐ガス性