ビッグバンドに涙する


 最近ビッグバンド*1を聴いている。

 何か新しい音楽を聴きたくて、でも現代音楽は何か違う気がして、苦しみ足掻いているうちに辿りついた桃源郷。それがビッグバンドだった。(プログレッシブロックにも手を伸ばしたりしてますが、それについてはまたいずれ)

 ある音楽ジャンルにハマるときには、フック(起点)となる曲との出会いが必要だと思う。個人的な経験を恥ずかしげもなく披露すると、J-POPのときは、ZOO(中西圭三作曲)のChoo Choo Trainだった。クラシックのときは、部室で流れていたチャイコフスキー交響曲6番(定盤、ムラヴィンスキー指揮&レニングラードフィルのやつ)。どちらも、初めて聴いたときに見えていた周りの風景や温度を、いまでもありありと思い出すことができる。

Choo Choo TRAIN~JR ski ski キャンペーンソング(CCCD)

Choo Choo TRAIN~JR ski ski キャンペーンソング(CCCD)


チャイコフスキー:交響曲第4番、第5番、第6番「悲愴」

チャイコフスキー:交響曲第4番、第5番、第6番「悲愴」


 前者は、中学の帰り、西日をいっぱいに受ける東急大井町線に乗っているときだった(駅間まで覚えている。二子玉川園と上野毛の間だ・笑)。友達にもらったカセットテープ(しかもテープからテープにダビングした、音質劣悪な音源)をウォークマンで聴いていたことが思い出される。後者は、部室のぼろぼろのステレオで、先輩が閉館間際にCDをフル・ボリュームで流していて、その場で立ち尽くしたことが思い出される。こういったことを覚えているというのは、アドレナリンが一気に出るからなのだろうか・・・?

 ビッグバンドに話を戻そう。最近は新しいジャンルを探すのがつくづく容易になったと思う。wikipediayoutube等の動画サイトを併せれば、とあるジャンルをとりあえず聴いてみることが可能になった。ぼくも、「クラシック後」といえばジャズとロックだろうということで、そこから探していったのだ。

 そこで出会ったのが、Buddy Rich(バディ・リッチ/1917-1987。ドラム。簡単なバイオグラフィはこちら(wikipedia))。ジャズももう歴史が長いので、その中でも色々な音楽があるのだろうとは思っていたが、バディ・リッチの音楽はその様々なバリエーションの中でも何か他と違って自分に染み込んでくる(彼自身が作曲していたわけではないようだけれども、どの曲も統一感があると思う)。そんなバディ・リッチ率いるビッグバンドの曲で最初にハマったのが、「Willowcrest」。聴き手を6/8拍子に乗せて、リズムの極地まで運んでくれる名曲だ。伝説のドラマーを挙げるときには必ず名前が挙がるバディだから、演奏面の充実も凄い。下の演奏を見てもらえば、ドラムが後からメンバーを統制しているのが分かると思う。初めて聴いたときは、あまりのカッコよさに痺れっぱなしで、正直涙が出た。その涙はおそらく曲の魅力だけが理由ではなく、この曲の先に広がる広大な世界の眩しさ故だったのかとも思う。ともあれ、いまのところ他のジャズ・ビッグバンドでこれまでの興奮は得られていない。どうも情緒に訴えかけるようなジャズはあまり好みでない模様。まぁ、行ける所まで突っ走ってみようかな(CDは星の数ほど出ているので、そのへんを逍遥するのも楽しい予感)。ちなみに、今のPCの壁紙は彼がドラムを叩いてるところです(←ハマりすぎ?)。


 Buddy Rich "Willowcrest"(1980,LIVE)音質悪し。youtubeにはこれしかなかった。残念。

 ときに、当ブログは「写真とオーケストラの話」という看板を掲げているので、ジャズを取り扱うということになると看板に偽りありということになりそうだけれども、ビッグバンドは別名「ジャズ・オーケストラ」なので無問題であります(笑)。


 おまけ。ZOO "Choo Choo Train @JR ski ski TVCM" 懐かしい・・・。

*1:説明はこちら(allabout)で。