ブラームス2番/イッセルシュテット指揮&北ドイツ放送交響楽団


 ブラ2を聞きたくなるときがある。

 今日は、輸入盤・SCRIBENDUMレーベルの全集からセレクトしてみた(1967年録音)。

 冒頭のホルンがまず音程・バランス共に問題ありで、そこは笑うしかないが、すぐさま集中力は戻るので大丈夫。期待に違わない上品な指揮ぶりで、ブラ2を聞きたいときの心にすっと染み入るようだ。全てにおいて自然な音作りで、ハッタリやブラフとは無縁の世界が広がる。見渡せば下品かさもなくばエセな上品が多いという世の中で、この演奏の上品さは貴重だ。恥ずかしさを押し殺して告白すれば、神々しさすら感じる。

 それでいて、4楽章のラスト(7:35-)はしっかりテンポが上がり、豪壮に終わるのもよい。特筆すべきはその加速で、加速時に動きの見えにくい低弦の動きを強調することで、オケ全体の回転数を統一的に上げているように聞かせるのには脱帽。文句なしの名演です。

 残念な点を挙げるなら、最後の最後で1番トランペットがバテバテ(しかも2番が吹きすぎ)なところ。あと、録音も最後少し乱れる。

 評価(5点満点):★★★★★(但し、こまごました事故は各所にある。無傷の演奏ではない)