マイケル・ケンナ展@写美


 マイケル・ケンナの写真展に行ってきました。詳細はこちら。本人のサイトはこちら(写真が多く、すごく楽しめるサイトです。おすすめ。)。

 6×6、モノクロのフォーマットで、テーマは「IN JAPAN」。日本をここまで多く撮る外国人写真家も珍しいのではないでしょうか。雑誌を開けば原色バリバリの風景写真ばかりという現在の日本において、こういった落ち着いたトーンの写真がたくさん見られるというのは、本当にありがたいことです。雑誌に載るネイチャー写真とケンナの写真とを比較したとき、良い悪いの問題はひとまず置いたとしても、明らかに違うのが分かります。ぼくは、こちらの方が好みです。

 また、白旗史朗の撮るモノクロームな自然写真(公式サイトはこちら。但し手抜きサイトなのが惜しい。)と比べても全然違います。白旗氏もかなり好きなのですが、例えるならバリバリのドイツ的重厚さを伴った写真であるといったところでしょうか。ベートーヴェンとかブルックナーとかの印象です。ケンナの写真はラヴェルみたいな感じ?

 具体的には・・・何と言えばいいのでしょう。
 洒脱?と評しても野暮だし・・・。写美の説明では、「ミステリアスで、現実を離れた異次元空間を錯覚させるものがあり、なおかつクラシカルでロマンティックな叙情に満ちています。」とあります。これはよく分かりませんね。異次元空間とは言えないような気がします。また、「独自の美意識による卓越したプリント・テクニックと仕上げは、作品の“精神性”を裏付け、世界中で高い評価を得ています。」とあります。“精神性”は納得。氏の写真は、まさに氏の“精神性”を表しています。人間そのものこそが芸術である、というのは誰の言葉だったか失念しましたが、そういう言葉が思い出されます。

 ともあれ、いまぼくが見たい写真は、ラヴェル的な?ケンナの写真だったようで、大満足な写真展でございました。点数も多いです(←大事だと思う)。ただ、もうちょっとプリントが大きくてもいいのではないかとは思います。写美は1フロアがあんまり広くないから厳しいんだろうとは思いますが・・・なら複数フロアぶち抜きでやってもいいと思いますし。それだけの価値のある写真家だと思います。

追伸>
 3Fで同時開催の「東川賞海外作家コレクション展」もよかったですよ(展示期間は既に終了→詳細はこちら)。北海道の東川町が町おこしということで「写真の町」を20年前に宣言したそうで。アンケートに答えたら立派な冊子(展示品を収録)をもらえました。本当に立派なもので、本当にタダでもらっていいのかと思うくらい。ぼくは東川町を応援しています(笑)。→東川町のサイトはこちら