岩城宏之墜つ


 邦人指揮者という存在のなかで巨大な一角を占める岩城宏之が昨日亡くなった。ニュースはこちら。(読売オンライン)

 以前氏のエッセイを一冊紹介したが、それから1年も経たないうちに亡くなるとは・・・。改めて、氏の功績の大きさには唖然とさせられる。彼に続く熱意・誠意ある音楽家は、いまのところ見当たらない。

 エッセイは氏に触れることのできる気軽な手段なので、是非未読の方には読んで欲しいと思う(「フィルハーモニーの風景」(岩波新書)がおすすめ)。のだめカンタービレなどフィクション系のものとは全く違った面からオーケストラの魅力を知ることができる。

 ネット上でもいくつか氏の発言をみることができるが、ここ(東京文化会館公式サイトより)は特におすすめ。特に私が定見を感じる部分は次のようなくだり。

「非難も常にされてきた。たとえばメシアンのクロノクロミーを日本でやった時のプログラムは、メシアンのクロノクロミーの初演とチャイコフスキーの4番。そうすると、日本の批評家がけなす。何ていう無神経かと。メシアンチャイコフスキーなんかを一緒にしたと。僕はチャイコフスキーの4番を聞きたい人たちにメシアンを聞かせたいんですよ。また、「新世界」を聞きたくてやってきたたくさんのお客さんに、武満を聞かせたい。そういうプログラムをずっとやってきた。」


 氏の冥福を祈りつつ、今日は久し振りにメシアンでも聴いてみようか・・・。