マニュアルフォーカスという法悦


 1ヶ月以上のブランクがあっての更新です。噂以上に3年生は忙しい・・・。GWも残すところあと数時間というところでようやく更新する気力が湧いたので、一気にやってしまいましょう。

 とりあえず、トップ頁*1の画像がいつまでたっても雪というのはどうか、ということで差し替えてみました。なもので、こちらの更新も写真関連でいきたいと思います。連休はMOT根津美術館を堪能してきたので、そちらについても追々触れられればいいなぁ。

 さて、ようやく本題。

 写真業界には、ピントを自分の手で合わせないと気が済まない「マニュアルフォーカス(MF)派」というものが有力少数な流派として存在する。現在のカメラはすべからくオートフォーカス(AF)というのが現状だけれども、私はどうしてもこれが好きになれず、古いMFのフィルムカメラばかり使っていた。しかしながら、昨年あたりでデジタルがようやく実用域*2に入ってきたことから、私も本格的にデジタルを導入したくなってきたのだ。

 「本格的に」導入、と言ったのには訳があって、実はそれ以前にデジタルは使ったことがあり、かつてキヤノンのD30を1年ほど使っていた。しかしその時はオートフォーカスに馴染めず、結局5000ショットほどで手放したのだった(メインのモノクロはフィルムで撮るというのもあるけれど)。AFに感じる違和感は、主に以下の点。

1.大抵のレンズは鏡胴が総プラスチックであり、とてつもなく安っぽい。
 これが第一の原因。父のお下がりの金属フルマニュアル機*3で写真に入門した者として、レンズ鏡胴がプラスチックというのは、どうしようもなくあり得ない。大体コンパクトデジタルカメラですら総金属採用の機種があるというのに、デジタル一眼のレンズ鏡胴がプラスチックでどうするのかと問いたい。金属製のレンズもあるにはあるが、大口径レンズにほぼ限定されるのでどうしても重くなる。機動性は大事。

2.デジタル一眼レフで実用的なレンズの多くはズームレンズなので、全長が長く嵩張る。
 これも問題。APS-Cシステムは、可搬性の要求から産まれた35ミリフォーマットを実質的に引き継いだもののはず。レンズが小さく設計できるようになったとはいえ、ズームはどうしても長い。私のカメラの使い方においては、ズームはほとんど不要なのです。足で前後すれば十分。

3.利き目が左なので、測距点セレクタ*4を操作しにくい。
 これは個人的事情なのですが、同様な人も結構いるはず。レフティ(目だけだけど)に優しくない業界です。キヤノンの視線入力にはかなり期待していたが、結局実用化する前に放り出してしまった感があるのは情けないところ。

4.合焦速度が速いとは思えない。
 AFは一般にピントあわせのスピードが速いといわれる。けれども、スポーツなどの撮影でない限り、撮る前に被写体との距離をある程度目測してからカメラを構えれば、MFでもすぐ合焦できる。そもそも、自分でピントを合わせたほうが、圧倒的に「撮っている」と思えてしまう。これはぼくにとって本能的なものだ。

 ということで、今回(といっても昨年中頃)の導入欲求にはどう対処したものか・・・という問題が出てくることに。デジタルでMFのシステムは事実上存在しない*5。そこでいろいろ調べていたところ、ペンタックスのシステムが目についたのだった。

 ペンタックスといえば、正直なところ、MZシリーズで「小型・軽量」という女性ニーズをがっちり掴んでいる、という程度の印象しかなかった。もっともこの印象については、写真店でバイトをしているときのチーフがMZを使っていたことから、その印象が強いのかもしれない。

 デジタルに関するペンタックスの印象は、比較的早い段階から発売を開始したという感じ(2003年9月発売)。当時の私は、一向にデジタルシステムが発表すらされないミノルタ派だったこともあり*6、デジタルが発売されるペンタックスが羨ましかった記憶がある。当時明らかに先行していたキヤノンニコンという巨艦に対し、古参の意地で向かっていく―――そんな気骨あるメーカーだという印象をもっていた。

 現在のペンタックスの特徴を自分なりに整理してみると、

①普及機でもペンタプリズムを採用し(一部除く)、ファインダー倍率が高いこと(ファインダーが大きくて見やすい)、
②ピント板が明るいだけでなくピントを合わせやすいこと、
③小型軽量であること*7
④質感高い昔のレンズが使えるだけでなく(キヤノンは全く互換性なし)、ちゃんと測光ができる(ニコンは互換性あれど上位機でないと測光不可)こと、

の4点が大きな特徴だと思う。

 ということで無事*istDSを購入、昔のM28/2.8やM50/1.4、タムロン90/2.5などの高質感&小型なレンズ群のしっとりとしたフォーカスリングの感触に満足しながら、無事デジタルに移行できましたとさ*8

 マニュアルフォーカスとデジタルカメラ。異色の取り合わせながら、実に快適な環境だと思うけれども、どうだろうか。新レンズを買っていないのは何となく申し訳なかったりもするので、普通のメーカーでは怖くて発売できない*9ような魚眼ズームをそのうち買いたいな、と思ったりする5月7日の22時@学校でした。

*1:「ページ」の変換一発目が「頁」という時点でゲンナリ・・・。

*2:性能はもちろん、価格的な実用性も含めて。

*3:ミノルタSRT-101。ちなみに、フルマニュアル=ピントのみならず露出もマニュアル。

*4:どこでピントを合わせるかを選ぶデバイスのこと。

*5:エプソンRD-1という選択肢は除外。あのCCDに20万は出せない。廉価機も出すべきだったと思う。

*6:今となっては遠い思い出です・・・。

*7:ペンタックス総合カタログの冒頭では、自社の歴史と共に、堂々と「スモール・イズ・ビューティフル」と謳われている。かの米谷美久氏がオリンパスから一線を退いて久しい今、かつての米谷氏としのぎを削ったペンタックスこそがその遺伝子を受け継いでいるようにすら思う。
ちなみに小型軽量という点でいえば、キヤノンのkissデジタルが*istD系と競っているけれども、あの質感もへったくれもないプラ丸出しのボディは、少なくとも私の好みではない(オリンパスE-500なども)。

*8:いまのところカラーだけ移行。

*9:誉め言葉(笑)。