マーラー交響曲1番「巨人」/バーンスタイン&コンセルトヘボウ管


 グラモフォン・1987年録音
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 外出する前、ひっさしぶりに巨人を聞く気になりました。ラックの前でちょっと悩んだ結果、選んだのはバーンスタインアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団。巨人は実際演奏したことがありその時にいろいろ聞いたのですが、当時の私の結論としてベストだったのがこれです。

 外で聞くのは騒音があるのでクラシックには不向きですが、密閉型イヤホンであるKOSS社製The plugがあるので問題ないと思っていました。しかし今回久々に巨人を聞いてみて、冒頭から何か違和感のようなものを感じたのです。どうも、演奏に衝撃がないのです。単に聞き飽きたのかとも思いましたがそれも違う。前聞いたときは、もっとこう未知の感覚が聴覚から流れ込んできたものでしたが・・・。

 火のような4楽章が終わる頃になってようやく分かりました。イヤホンが響きに全く付いていっていないのです。録音というのはどう頑張ってもライブに敵わないものではありますが、それにしてもこの曲の持つ魅力はさらに半減しています。家に帰って、同じ外用ヘッドホンである、ソニーMDR-D77(もう10年選手)につなぎかえてみました。やはり・・・!The Plugは低域が出過ぎるという欠点はあれど、中域から低域までのつながりとバランス自体は結構良く、外であればこれで十分!(遮音できるメリットもあるし)と思っていたのですが、全然駄目でした。室内楽や豪壮でない交響曲ならば対応できると思いますが、マーラーくらい時代が新しくなると厳しいと判明。とはいえイヤホンはヘッドホンより嵩張らないので、曲に合わせて使い分けていくことになりそうです。あ、因みに、The Plugがいいイヤホンだという考えは変わっていません(超個性的でありながら破綻はしていない、そのバランスがいいです。安いし・・・)。

 さて、改めて巨人を聞いてみますと、やっぱりすごい。冒頭から緊張感漲るユニゾン。前後に自在に揺れるテンポと強弱。最後まで一気に聞けます。コンセルトヘボウも、バーンスタインのねっとり感を美しい音色で絡めとっており、本当に素晴らしいです。世界第三位のオーケストラは人によって評価が分かれると思いますが、私はコンセルトヘボウを推します。また、それでいて4楽章においては指揮とオケが渾然一体となった爆発力を見せます。出来ることならこの組み合わせの演奏をライブで聞きたかった、と心の底から思います。それが叶わない今となっては、激情型の系譜に連なるゲルギエフ大先生がコンサートで取り組んでくれるのを待つか、もしくはこのCDをもうちょいといいオーディオでパワフルに鳴らしてみるか。

 ともあれ結論としては(って強引な締めですが--;)、このCDは流石押しも押されぬ超定盤といったところです。大推薦。