ベートーヴェン7番/岩村力&品川区民管


 こんばんは。今日(14日)NHK-FMでやっていたべト7の指揮者をブラインドで当て、ご満悦のpopulaireでございます(正解はサヴァリッシュ)。先日、品川区民管弦楽団に行ってきました。

■曲目
 楽劇「マイスタージンガー」より(ワーグナー
 楽劇「ローエングリン」より第1幕への前奏曲(同)
 同楽劇よりエルザの大聖堂への入場(同)
 ベートーヴェン交響曲第7番

 地域密着のオーケストラであり、お客さんは大入りです(子供の入場制限も無い)。このコンセプトは素晴らしいものだと思います。楽章間拍手がありましたが・・・。

 最初はおなじみのマイスタ。最初は少し固かったですが、最後の主題で全く別のオーケストラに入れ替わったかのような堂々とした響きに変貌し、びっくりしました。ゲネプロで凄い練習したのかな?(邪推)その部分はテンポ運びも揚々たるフィナーレといった感じで、一気に上半身が浮きました。そういえばマイスタ・ラスト3小節の打楽器は演奏者によって様々なバリエーションがありますが、今回は最後の一発でシンバル入れてました。これはあまり好みではないですね・・・。私はティンパニのロールを2小節鳴らしっぱなしにして(勿論クレッシェンドも!)、最後の和音と共にティンパニのみ1発フォルティシモでかますのが好みです(←趣味の世界・賛同者求む)。

 ローエングリン第1幕は、ずっとしずーかな曲です。岩村氏のスタンスは恐らくインテンポを基調に響き・音形で勝負するタイプなのかと思いましたが、そのスタンスが裏目に出た感じです。練習時間も足りなかったのでしょう。

 エルザは、私が中学時代吹奏楽部の顧問が急死した際に弔いとして演奏した曲だったので思い入れがあるのですが、その思い入れ(頭の中のイメージ)と比べてしまうと、ちょっとホルンの鳴りが足りなかったかもしれません。

 メインのべト7では、アマオケの法則の発動によって一気に目を覚まされました。(アマオケの法則とは・・・自身含む大抵のアマオケは、メインの練習を文字通りメインにしますから、畢竟出来もメインが圧倒的に良くなる)

 最初の和音からして全く別物で、これは期待できるなという感じでした。流れとしてはやはりインテンポが基調であり、端正に構築された音が眼前に広がります。フルートの1楽章主題も伸びやかでよいです。2楽章に入ってもその響きの美しさは保たれていましたが、インテンポでは合わないのでは・・・?という疑問を感じました。2楽章のテーマは「葬送行進曲」であり、葬送行進をイメージするならばそれは軍楽の機械的な行進などとは違うのではないか・・・と。ティンパニの動きが機械的であるのも違和感を助長しました。さて3楽章ですが、この楽章はA-B-A-B-Aという形式であることから、ともすれば飽きがきてしまう楽章です。すごく上手なんですが、ただ綺麗なだけの風景写真を見ているようでした。ズレ等はほぼ問題にならないだけに残念です。

 4楽章。ここでもほぼインテンポを通し続けるのですが、ここにきて岩村氏は本当に基礎を大切にする人なのだと思うに至りました。譜面のパワーを極限まで高め、熱狂という熱狂が坩堝に叩き込まれたようなクライバーウィーンフィルの演奏はやはり凄いのですが、「そういうのをやるにはけれん等ではなく、基礎からちゃんとやらんとあかんよ」と岩村氏に言われているように思えてしまいました(当たり前のことなんですが)。まあ、4楽章は譜面自体に強烈なパワーがあるので、基礎のあるオーケストラにかかればとても盛り上がります。しっかり盛り上がり、大満足の演奏会でありました。アンコールはグリーグの「ゆりかごの歌」。完璧です。弦楽器素晴らしすぎ。

 2004年11月13日、大井町きゅりあんにて。700円。次回はリヒャルト・シュトラウスドンファンブラームス1番だそうです。