邦楽CDという既得権

日本盤が出ている洋楽CDの輸入盤が違法になる法案が提出されているようです[asahi.com]
私がどうこう言うのでなく、イェーリング先生(1818-1892)に御登場願うことにしましょう。

 長い年月の間には、無数の個人やあらゆる身分の利益が既存の法と固く結びつくものであって、これらの利益を著しく侵すことなしに既存の法を廃止することは不可能である。ある法命題、ある制度を問題にすると言うことは、それらすべての利益に宣戦布告すること、無数の根をはっているポリープをひきはがすことを意味する。したがって、そのような試みはすべて、脅威に曝された諸利益の自然な自己保存本能によるはげしい抵抗を誘発し、闘争を不可避ならしめる。他のすべての闘争におけると同様にこの闘争においても、物を言うのは理屈でなく対立する両勢力の力関係であり、あたかも力の合成の場合のように、最初の方向ではなく平行四辺形の対角線の方向に力が走ることも稀ではない。こう考えてみれば、世論によってとっくに見放された制度がその後長い間生命を保つことが多いという現象も理解できるであろう。そうした制度を支えるのは歴史の慣性といった物ではなく、それぞれに現状を守ろうとする諸利益が示す抵抗力なのである。(「権利のための闘争」より/イェーリング著)